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第二十二夜  Time Difference @Sofia [Bulgaria]

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―DAY22― 8月26日(帰国まで4日)

時差だった。

「今、1:30よ」

深夜のひと気がないチケット・カウンターで退屈そうにしていたおねえさんはそう言い放った。

バスに乗り遅れたことでようやく気づいた、ここブルガリアとバルカン諸国の間には「時差」があったのだ。
少し調べておけばカンタンにわかることなのだが、
時差が生じるのはアジアとヨーロッパの境目でもあるトルコから、と勝手に思い込んでいた。
実際、イスタンブールを経由し、クロアチアに入る際は間違いがないようしっかり「時差」を気にしていた。
それもあってかキワメテ独断的に「トルコから時差が生じるもの」、と思い込んでいたのだ。

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我田引水的拡大解釈式に言い訳を展開すると、
セルビア・ベオグラードからブルガリア・ソフィアへやって来たのが寝台列車、というのも要因のひとつだ。
車内アナウンスはないし、駅にそんな案内があるはずもなく、
ソフィアの街に放たれるとそのままセルビアの時間で過ごしていた。
フライトならアナウンスもあるだろうが、亡者のように駅に降り立ったバックパッカーに手は差し伸べられなかった。

そういえばこの街に着いてから公共の時計を眼にしなかったし、気にも留めていなかった。
真夜中のバス出発が決まり、特に時間に追われるわけではなくなったので時間はザックリと気にしておけばよかったのだ。
結果、1時間ズレていたと考えると、すべてに合点がいった。
道行く人が少なくなっていったのも当然の頃合い、
早仕舞いのスーパーは表示通りの時刻で閉めていたわけで、
BARで見かけた酔っ払いも盛り上がっていいはずの時間帯、
荷物預かり所のオババが怒り狂っていたのは時間を守らないこのアジア人のせいだったのだ。

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原因はすべてこの愚かなる旅人にあった、ヒントは数々あったというのに。
もはや探偵業は廃業したほうがいいかもしれない、誰が探偵だ?

「『ブカレスト』に行くにはどうしたらいいかな?」

「う~ん、うちだと扱ってないから窓口が開く朝まで待たなきゃならないんじゃない?
 6時ごろには開き出すと思うわよ」

「ありがと。ということで、今は1:45だよね?」

「そう、退屈な真夜中よ」

腕時計の針を直しながら、さっきまで陣取っていたベンチに戻り、横になった。
幸い、バス・ターミナル内はフリーのWi-Fiが飛んでいる、PCでバスの時刻を調べ、旅のプランを練り直した。

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ソフィア滞在が8月25日、たった今バスを乗り過ごし、日付が変わり、26日、
27日夜、イスタンブールの空港に向かわねばならず、28日の0:40の便で発つ、
残り日数というか残された時間はほぼ48時間、映画のタイトルのようだな。

う~ん。

こうなると朝一のバスでブカレスト到着が昼、午後に街をうろつき、
夜行バスでイスタンブールへ向かい、ここでもデイタイムだけ滞在し、夜に空港に向かう強行軍か。
ツアコン時代に繰り返し訪れた以来の久々のイスタンブール、もうちょっとじっくり味わいたいよな。

う~ん。

ここから朝一でイスタンブール入りして、昼過ぎ到着、ゆっくり過ごし、そこで一泊、
翌日もイスタンブール満喫で、そのあと空港へ向かうか、この案だとルーマニア・ブカレストはスキップだ。

う~ん。

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夜行列車、バス・ターミナル泊、深夜バスで空港行きはさすがにベッドが恋しい。
やはりイスタンブールで一泊して、ゆっくり街を巡るのが正着か、と思い、イスタンブールの安宿を探した。
足、つまりバスを確保してないので、ブッキングはせずにベンチで眠りに就くことに。
8月だというのにソフィアの夜は冷え込む、夏服しかないのでTシャツやシャツを重ね、即席のミノムシ。
気分的にも充分、滅入っていたので風邪をひかないようそのことだけケアした。

こう書くとバスを逃しながらも冷静に対処しているように思えるが、
これを記していて、遡って写真を探したがソフィアのバス・ターミナルの写真が一切なかった。
おそらくそんなところまで気が回っておらず、後悔としでかした失敗に頭を抱えていたに違いない。

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この旅2度目の「バス・ターミナルの夜」を明かし、まだ暗い朝の空の下、バス・チケットを扱う代理店を探した。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-02-14    バスターミナル@モンテネグロ

イスタンブール行きのバスは大きな新バス・ターミナルと中央駅との間にある旧バス・ターミナルから出るらしく、
そこでドライバーやスタッフにかたっぱしから声をかけ、チケットを扱う事務所を教えてもらった。

「『イスタンブール』行き、一番早い時間の空きありますか?」

代理店らしい構えの事務所に入るとデスクの向こうにいた小奇麗な身なりをした男性が
ロシア人女性のパスポート片手に方々に電話をかけては彼女たちにヴィザがどうのとかダメダとか、
なにやら説明し、少しばかり揉めていた。
おかまいなしに声をかける、こういう場合、待っていると後回し攻撃に晒されることは旅を重ね、分かっている。

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「OK、こっち終わったらやるからそこに座っていて」

確約を取って後ろのイスに腰かけた、壁の時計は6時半を回っている、隣の男性と言葉を交わしていると順番が回ってきた。

「おまたせ。イスタンブール? 次のバスは8:30かな?」

「早いヤツならなんでもいいです。昨日、これ、乗り過ごしちゃって」

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ひょっこり入った代理店だったが、偶然にも同じバス会社を扱う店らしく、デスクの上に同じチケット・カバーが並んでいた。
こちらではバス会社が窓口をかまえるのでなく、代理店がチケットを売っていることが多い。
紙切れになったブカレスト行きのチケットを見せてみた、モチロン少しばかりの淡い期待を乗せて。

「ああ、これ、駅の店舗で出したやつだね、ごめんね、出発前なら行き先変更できるんだけど、これはもうダメだ」

「あはは、そうだろうね。いいんだ、こちらのミスだから」

52レヴァのチケットはあっさり流れた。

「7:15ってやつまで時間ないけど、そっちに乗るかい?」

壁の時計は7時に迫っていた。

「早ければ早いだけ助かります、8:30よりもそっちがいいな」

「じゃあ、すぐに発券するよ。時間がないからそのスタッフがバスまで連れて行くよ」

「ありがとう、それは助かります」

チケット代50レヴァを支払う、両替したUS$50が56レヴァなので、4000円程度、
到着は16:30頃、約9時間で距離も長いのだが料金はブカレスト行きより安かった。

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小間使いらしい若い男性の先導でバスまで連れて行ってもらい、新しい車体に乗り込んだ、彼は「チップ」とは言わない。
車内はキレイでおまけに空いていて、どうやらぐっすりと眠れそうだった。

席につくと間もなく、バスは出発した。


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