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第四夜 Park Tivoli @Ljubljana [Slovenija]

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路上のグルメで燃料補給し、午後も自転車での回遊を繰り返した。

機動力を生かし、旧市街の外れにある教会にも足を延ばす。
どうやらここは解放されているらしく、中に入ることができた。
ここまで足を延ばす物好きな観光客もいないのだろう、独り占め状態だったが、
再築された教会らしく、新しい塗装だけがやけに目立ち、ステンドグラスもフレスコもなく、
それほど長居する気も起きなかった。

ワン・ブロック隣りの教会にも足を延ばしてみたが、こちらはやはり閉ざされていてどうも勝手がわからない。
やはりミサがある時だけ、開け放つのかな。

方々にある教会を巡り、旧市街は見尽くした感があった。

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街の西側からはケーブルカーで小高い丘にある城壁に上がれるようだったが、
そのことにはあまり興味を惹かれなかった。(写真7)
元来、金を払ってまで高い所に上がろう、という気がないだけなのですね、これが。

それよりも旧市街を走っていることで、ひとつ困ったことがあった。

「水」を買うことができないのだ。
キレイに整備された旧市街にはキオスクや売店がない。
来る途中の新市街に戻ればスーパーも売店もあるだろうが、旧市街にはそれらしき店がないのだ。
持ってきた2Lのミネラル・ウォーターのボトルが底をつきそうだった。

こうなると昼食を食べた出店が並ぶ広場に戻り、買い求めるか、
カフェに飛び込み、ボトルを売ってもらうかしかないのかな。

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ヨーロッパにおける「CAFE」や「BAR」は日本のコンビニのような存在で、
コーヒーはモチロン、タバコ、ガム、水などの小物も扱っている。
トイレに困った時も地元の人が飛び込むのはカフェで、
飲み物を注文しておいて、その間にトイレに駆け込む、なんて姿をよく見かける。

ツアーを担当していた時、「ヨーロッパはコンビニがなくて不便」とツブやくお客さんが多かったけれど、
カフェやバルがその役目を果たしているので、
「コンビニがない」んじゃなくて、「コンビニを必要としてない」だけですぜ。
なにもかも新しいものが便利とは限らないのさ。

そういえばこんなにコンビニが普及する前の日本って、どうしていたんだっけ。

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大切なあの方へ、美味しい感謝の夏ギフト【博多辛子明太子の島本】


手持ちの水が「ガス欠」状態だったので、カフェで休憩することも考えたが、
新市街を彷徨い、スーパーを探し当てるのも悪くないように思えた。
店が見つからなければ、道行きでホステルに戻り、近所のスーパーで買い求めてもいい。
あるいはそのまま小休止して、宿で水を買ってもいい。

自転車という機動力があるおかげで、選択肢は広く、
リュブリャーナの街自体が小さいこともこちらの気分を楽にしてくれていた。

結局、スーパーを探し当てることができず、大きな『チボリ公園』を宿に向けて、走り抜けた。

途中、ボールを打つ音が聞こえ、そちらに進むとテニスコートがあった。
おお、やはりヨーロッパは「クレイ・コート」なのね。
クラブハウス前にベンチがあったので、心地よい陽気の下、腰かけてしばらくプレイを眺めていた。

誘ってくれたらすぐにでも打ち合う気満々でいたが、
生憎、デッキシューズではクエリ・コートを走ることはできませんね。

『ローラン・ギャロス(フレンチ・オープン)』のようにヨーロッパでは土の「クレイ・コート」、
これがアメリカとなると「ハード・コート」が主流で、
人工芝に砂が入った「オムニ・コート」は日本独特のサーフェイス、って知ってます?
そんなドメスティックなコート事情が日本の「プロ育成」を阻害しているのだとか。

「ハード・コート」は他のコートの1,5倍は疲れます、ひざやかかとへのダメージも酷いしね。
足を滑らせられる「クレイ・コート」が個人的には好みですが、実は一番、手間と維持費がかかるらしい。

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自転車をキオスク・スタンドに戻し、ホステルに戻り、シャワーを浴びて、暑さしのぎの小休止。

忙しそうな朝に払いそびれた宿代21ユーロ(≒2800円)を支払い、
ロビーでWi-Fiを繋ぎ、リラックスしているとバックパック姿の客がやって来た。

「ベッド、空いてますか?」

どうやらカップルは予約ナシで飛び込みの「ウォークイン」客らしい。

「今日はもうFully、空いてないわ。金曜だから他も空いてないかも。ネットで見てあげましょうか?」

「ありがとう、助かります」

「あ、近くのXXXにベッドが2つだけ空いているみたい。
 電話入れておいてあげるけど、あなたたち、なるべく早く行ったほうがいいわよ」

朝とは違う女性スタッフだったが、飛び込み客にも優しく、手際がいい。
彼女に送り出されるように、カップルはバックパックを背負ったまま、地図を片手に去って行った。
しかし金曜の夜に予約なしの「ウォークイン」は無謀でないかい、キミタチ。

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この手の安宿は繁忙期やオーバーブックの際、系列店や知り合いで客を融通することがあるが、
それとは違うらしく、純粋にバックパッカーを世話しているようだった。
どうやらここのスタッフはかなり丁寧で親切なようだ。
今年オープンしたばかりなのでスレてないのか、
あるいはそういう人たちが集って経営をはじめたのかはわからないが、
宿泊客としては悪い気はしなかった。

安宿は「安い」だけあって必要以上は仕事をしないスタッフがいることも事実だ。
ホテルやゲストハウス、ホステルにおいては「サービス」は無償ではない、
なのでこういうスタッフに出会うととてもうれしくなる。
そしてここバルカン半島ではその「うれしさ」に出会い続けることになるとは。

日が落ち、涼しくなった頃合いにまた出かけた、モチロン自転車を駆って。

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リュブリャーナが小さな街、と記したが、おかげで『ビツィケリュ』も一時間以上乗らずに済んでいる。
というのも、自転車にカギが付いていないため、
食事の時や見学の建物に入るときはスタンドに戻さないとならないわけですね。
バゲージ用のチェーン・ロックを持って出ればよかった、と思いはしたが、
まあ、旧市街の各所にスタンドがあるので、一旦、戻せばそれで済むんですけどね。
どうやら基本料金だけで済んでしまいそうな気配。

こちらの脇をキックボードの女性やスケボーのビジネスマンがすり抜けていく。
平坦な街だけあって、自転車での通勤姿をよく見かけるが、
それにもましてキックボードで通勤する女性がチラホラ。
う~ん、なんともリラックスしていていい感じ。
なにごとにも縛られてないというか、屈託ない風景というか。
「自らを由とする」=自由とはこういうことだよね。

その小さな街も見尽くした感があるので、次の目的地を目指すことにした。

簡易事務所のようなバス・ターミナルに寄り、ザダール行きのチケットを購入、
5時間半のバス旅で26ユーロ(≒3500円。2014.08のレート)と破格の安さ。
ユリアン・アルプスや鍾乳洞に日数を奪われるわけにいかず、
スロヴェニアはこの小さく美しい首都のみで別れを告げることに決めた。

明朝8時のバスでまたクロアチアへ、今度はアドリア海沿岸を臨む。

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ディナーに出向く人たちを狙ってか、『プレシェーレノフ広場』には様々な大道芸人が広場を賑わしている。
火のついたトーチのジャグリング、アコーディオン弾き、ラテン系の楽隊・・・
そんな彼らをディナー・ドレスに着飾った観光客が遠巻きに眺めたり、
あるいは音楽に合わせてステップを踏んだり・・・
稼ぎ時の彼らのパフォーマンスにも力が入る。

週末の夜、家族連れやカップルが集うレストラン、一人旅の身は置き所がない、さあて夕食はどうしようかな。


チヴォリ公園

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第四夜 Around by Bicycle @Ljubljana [Slovenija]

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リュブリャーナの街の見どころは集めたかのように川沿いに凝縮されていた。

交通の要所であったのであろう『リュブリャニツァ川』の蛇行に沿うように旧市街が成り立っているため、
観光客にとってはものすごく都合のいい作りになっている。
『Presernov Trg(プレシャレノフ広場)』前にある観光案内所でもらった市内地図を見るまでもなく、
気持ちのいい川べりを行くだけでこの街を手にしたような気になれた。

旧市街は狭く小さい規模なので、行く先々が観光客で溢れかえっていた。
バカンス・シーズンなので当然といえるが、
金曜日でこの人出ということを考えると明日以降の週末はすごいことになりそうだ。

要所要所で自転車を停めては写真を撮り、記念撮影に没頭する観光客の脇をすり抜け、
写真を撮っては次のポイントを目指す。
太陽が昇るに従い、気温も上昇しているようで30度を軽く超えているだろう。
自転車を漕いでいると汗ばんでくるが、木陰で休憩すると湿度のない乾いた風が身体を冷やしてくれる。
ガス入りミネラルウォーターのボトルを傾けながら、久々にヨーロッパにいるんだなあ、と再認識するひと時。

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旅先での自転車は最高の相棒を得た気になれる。

訪れた街に観たいもの、行きたい場所はいくらでもあるが、徒歩での移動には限界がある。
ローマやヴィエンチャンでバイクを借りたこともあるが、
交通ルールや事故のリスク、ガソリンの煩わしさが付きまとう。
アメリカに行けばレンタカーは必需品だが、こいつは写真撮影に向いていない。

体力次第で遠くに行けることや気になったものを見つけた瞬間に停めてファインダーをのぞける、
そういった点から自転車が最強、というワケ。

ホステルでも自転車を貸し出していたが、一日料金でしかも安くなく、利便性は低かった。
世界各地にキオスク・スタイルのレンタル・サイクルが広まると旅行者にはありがたいね。
ミネアポリスでは地元の人が家から駅、そこから路面電車に乗り、着いた駅から事務所へ、
と通勤の行き来にレンタル・サイクルを活用しているそうで、
稼働率ものすごく高いと観光局の人が語っていた。
旅行客ばかりでなく、意外なところで重用され、渋滞緩和、Co2削減に一役買っているみたい。

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教会を中心に訪ね歩き、『ビツィケリュ』のスタンドに自転車を戻しては写真を撮り、辺りを歩く。

旧市街の教会はどういうわけか閉まっていて、ほとんどが中を見ることができない。
ミサの時しか開けないのだろうか、理由はよくわからなかったが、外観を見て歩くだけでも楽しかった。

昼ご飯が終わる頃合いに「安くておいしいものが並んでいるよ」とホステルで教えてもらった場所を目指した。

『Tromostovje(トロモストヴィエ・三本橋)』の東側の広場が大勢の観光客を集めていた。
ヨーロッパではめずらしい露店・出店が軒を連ねていて、「屋台村」というか「学園祭」のような雰囲気、
イタリアン、スパニッシュ、ターキッシュ料理などが並び、
ワインの出店ではプラスティック・カップ片手にした人たちから笑みがこぼれている。
日陰になったテラスや階段では紙皿を片手に持った人たちが勝手に腰かけ、楽しそうに食事している。

出店のテントには有名ホテルや地元レストランの名が記されている、
その店に準じたクオリティの料理が供されているのだろうか。

お隣の国でもあるイタリア系の料理が多いなか、以外にも大行列を作っていたのは「タイ料理」のお店だった。
ここスロヴェニアで「タイ料理」がめずらしいのか、はたまたアジアブームが一因なのかはわからなかったが、
ダントツで長い行列を成していた。

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こんなにチーズがおいしいなんて♪ ワインで乾杯♪

「5ユーロもあればおなかいっぱいになれるよ」
チェックイン後、ホステル・スタッフに街の見どころなどを尋ねたら、貴重なご飯情報を教えてくれたのだ。
それがこの露店が並ぶ広場のことだった。
「いろんな料理があるから、ここで食べない手はないよ、安いしね~」
彼の話を聞いているだけで、ヨダレが出そうになり、朝の時点でランチはここにしようと決めていた。

バルカン半島に来てまでタイ料理を食べるつもりもなかったので、他の料理を物色して歩く。
するとちょうど大鍋で調理をしはじめた店があった。

「これ、いつごろできます?」

「5分ぐらいかな。ラビオーリーおいし~よ~、食べに来てよ」

イタリア訛りが強いニイチャンにそう言われた。

「じゃあ、あとで来るね」

出来たてに勝る美味はあるまいと、ラビオリをメインに決めて、他の店の探訪を続けた。

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スパイスの香り漂うケバブが魅力的だったが、今後の東方行きで出会うチャンスがありそうだったので却下、
それでも肉の焼けるニオイには心惹かれた、頭と胃袋は別々なのね。
すると揚げたてのカラマリの香りが流れてきた。
どの店も青空の下で調理しているので、広場にいるといろいろな料理の香りが遠慮なく覆いかぶさって来る。

「『カラマレ~ス』、どう? 食べていかない?」

「イカ、いいニオイだね。あれ? サーディン(いわし)もあるの?」

「『サルディ~ナス』もオイシイヨ」

『カラマレス』『サルディナス』と言っているのでスペイン系のレストランか、
イタリア語なら『カラマリ』『サルディナ』だよね、たしか。
クセのあるラテン系の巻き舌が強烈、今度はスペイン訛りが登場というわけね。

「じゃあ、ウナ・サルディナス、ポルファ・ボール!(いわしひとつください)」

こちらも負けずに、ラ行の巻き舌を強めに言い返すと店のおばちゃんがうれしそうに復唱した。

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「キミは今、ナニを頼んだの?」

後ろに並んでいたアメリカ人夫婦が不思議そうな顔をして、聞いてきた。

「さーでぃんデス、いわしデス。これから揚げるみたいだからオイシイデスヨ、キット」

「いわしなら僕らももらおうかな」

英語が通じることで安心したのか、そうツブやいた、でもわたくし店員じゃないですけど。

「オバチャン、この人もサルディナスひとつだって」

お節介覚悟でアメリカ人夫婦の代わりにオーダーを告げるとオバチャンが前にもまして上機嫌で繰り返した。
心なしかさっきよりも巻き舌がすごい。

「ウナ・サ~ルディ~ナ~ス、OK~」

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揚げたてのイワシのフライを手に先ほどの店に戻り、約束のラビオリを買い求め、日陰のテラスに腰かけた。
皿に盛られた『ラビオリ』には刻んだチーズをどっかりかけられていて、
『イワシの唐揚げ』には大きめのレモンが添えられていた。
どちらの皿も4ユーロ、合わせて8ユーロのランチ、悪くないじゃないかい。

乾いた風、眩しい太陽、うまい料理、これでキンキンに冷えた白ワインでもあれば堪えられないんだろうな、
コチトラ酒飲めないけど。
旧市街にくれば誰でも気づくような出店の場所だったが、
ホステルのスタッフにもらった「安くておいしい」という情報がよけいに気分を上げてくれた。
イベントのようなニギワイだが、スタッフが知っていたということは常設の露店広場だったのかな。
まあ、そのあたりの謎解きはほったらかしておき、お皿に集中するとしましょう。

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食べ終えた器を店先のゴミ箱に入れようとすると声をかけられた、さっきのスペイン系オバチャンだ。

「サルディ~ナ、どうだった?」

「びえん! ぼ~の! せ・ぼん! オイシイ~」

不意を衝かれ、咄嗟に何語がいいのかわからず、イタリア語、スペイン語、フランス語を立て続けに口にし、
力強く日本語も添えてみた。

どうやら日本語が一番ウケたようで、彼女も「オ~イシ~」といいながら親指を立ててくれた。


ザグレブからリュブリャーナへ
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第四夜 Entry to Republika Slovenija @Ljubljana [Slovenija]

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―DAY4― 8月8日

晴れているが朝の空気は冷たく、肌寒かった。

バスでの移動に備え、しまい込むはずだったコットンパンツを出し、履くことにし、
昨夜、スーパーで買ったパンでカンタンに朝食を済ませ、6:20にホステルをチェックアウトした。
バス・ターミナルへはトラムで10分とかからない距離だったので、少し早目に出向き、
ゆっくりコーヒーでも飲むつもりでいた、外はまだ薄暗い。

ところが眼の前の停留所で待っていてもなかなかトラムが来ない。

地元の通勤客もぽつりぽつりと停留所に顔を揃えはじめたので、
間もないだろうな、と思っていたがこれがなかなか来ない。
昨日は5~10分間隔で走っていたよな、と思い返しながら待っているが来ない。
6:20を過ぎた頃から待っているので、朝は運航間隔が長いのか、などと解釈してみたもののまだ来ない。
薄暗かった空も次第に明るくなっていき、反対方面行きのトラムだけが通り過ぎていき、
街の中心へ向かうトラムは来ない。
リュブリャーナ行きのバスは6:50なんですけど~、とツブやいてみても来ないものは来ない。

トラムがやって来たのは6:40だった。

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10分かからないとはいえ、バス・ターミナル前の停留所で降り、
そこからバス乗り場を探して、6:50のバスに乗り込めるだろうか、軽い「絶望」が頭のなかを駆け巡る。
あきらめ半分でドア脇に突っ立ち、もう半分で11:30のバスに乗ることを考えていた。
(11時までなにをする)・・・(荷物をロッカーに入れて街を歩くのか)・・・
(部屋に戻れるかな)・・・・・・(払い戻しか、買い直しか)・・・
トコトコ走るトラムの中でジリジリしながら、頭の中だけが猛スピードでカリカリと動いていた。

バス・ターミナル前の停留所に到着、時計は6:48を指している、ダメモトで走った、荷物を抱えて。

「リュブリャーナ行きのバス、ドレ???!!!」
大声で行き先を告げながら、チケットをはためかせ、乗り場に駆け込んだ。

「あのバスだよ」
スタッフが指さした先ではドライバーが荷物をトランクに積み込んでいた、どうやら間に合ったようだ。

6:53、バスは出発した。

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席に落ち着く間もなく、30分でボーダーに着いた。
クロアチアは2013年7月にEUに加盟したが、国境は通過手続きが必要で、
通貨もクロアチア通貨クーナがそのまま使用されている。
旧ユーゴスラビア諸国は国によって、通貨、国境などがバラバラ、これがけっこうややこしいので、
Wikiなどで検索してみてくださいな。

まずはクロアチア出国の手続き、続いてスロヴェニア入国という流れ。(写真2)
15分かかって越境し、9時を少し回った頃、スロヴェニアの首都リュブリャーナに到着した。
2時間ちょっとの国際バスの旅だ。

降ろされたところは街の北側にある『リュブリャーナ中央駅』に沿うようにあるバス・ストップ。

一応ここがバス・ターミナルらしいが「ターミナル」といえるような設備はなく、ただのオープン・スペース。
こじんまりした建物が隣接されていて、そこが事務所らしい。
次の目的地への時間と料金が知りたかったが、朝ということもあり混雑していたので建物を通り抜けた。

中央駅からさらに北西の位置にあるホステルを目指し、歩く。

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宿はザグレブと同じように昨日の部屋からネット予約を入れていた。
かつては「バックパッキングの旅」というと到着間もなく安宿探しに向かうのが常だった。
荷物を背負ったまま、安宿が並ぶエリアへ向かい、自分の好みに合う部屋を見せてもらい、
予算に合わせ何軒も訪ね歩く、というのが常道といってもいい。
一人だと荷物を背負ったまま、安宿数軒を訪ね歩くことになるが、
二人組となればもう少し賢い旅の方法があることを、
ヴェトナム・ホイアンで『バジェット・トラベル』を重ねるオージー夫妻に教えてもらったこともあった。
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-11-04 (@ホイアン)

その常道もネットの普及で様変わりした。

「検索」ひとつで最安値の宿を見い出すことができるし、その宿の評価や設備の良し悪しまで書かれている。
もちろん宿で知り合った旅人同士、どこの宿が良かったとか、あそこは安かったとか、
「王道」の情報交換は今でも生きてはいるがその形態もかなり変貌を遂げている。

一眼レフ担いでの旅の身としては多少のセキュリティが必要だ。
安さ優先なら必然「ドミトリー」となるが、「シングル・ルーム」となるとカメラの心配がなくなる。
その分、金額がかさみ、他の旅人との交流も少なくなってしまうのが難点でもある。
平均的日本人には「ドミトリー」自体がキツイかもしれない、「シャワー・トイレ共同」なんていうのもね。

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今回は長旅なので多少の節約も必要で、30泊を5,000円の宿に泊まり続けるわけにはいかない。

とはいえ安いドミで「ベッド・バグ」(南京虫やダニやら)にやられる気もないのでここが工夫のしどころ。
「最近開業したホステル」(設備が新しければカラダの形にヘコんだベッドや不潔な設備にも悩まされない)
「街外れのロケーション」(街の中心は古くからの宿が多く値が張る。新興の宿は街の外郭に多く、地安め)
「駅やバス・ターミナルの近く」(荷物アリの移動は疲れ、時間も奪われるので)
ここらあたりが今回の宿探しのプライオリティ、シングルとドミは価格差を見て、決めることにしましょ。
プラスアルファを書くなら、
「共同キッチンあり」だとカンタンに自炊できるので、食費の節約ができる、EUは一人メシに困るのだ。
「朝食付き」なら新鮮なコーヒーが飲めるでしょうから、この2つはエクストラ・ポイントかな。

この旅では頻繁にドミトリーも使うことにもなったけど、
日本人でも耐えられるキレイ目の宿が多いのでオススメですぜ。

通勤客と擦れ違いながら、15分ほどで『Hostel Tiboli(ホステル・チボリ)』(写真2)へ到着した。
9時を回ったところなのでチェックインには期待せず、荷物だけを置かせてもらうつもりで来ていた。

「おはよう、ネットからブッキングした者です」

名前を告げ、ブッキングの予約番号(リファレンス・ナンバー)を告げる。
ネット予約ならブッキング番号を告げるのが確実で手っ取り早いのです。
名前を告げてもパスポートを見せてもナカタとかホンダとか世界的に有名な名前ならわかりやすいが、
日本人の苗字はこちらの人には馴染みのない厄介なシロモノ。
「ワイ・エイ・ケイ・エイ・ティ・エイ(NAKATA)」とスペル・アウトできると多少ハナシは早いけど。
それならば予約番号のほうがトラブル回避の早道。

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「ベッド、空いているけど入る?」

「え? いいの? 荷物だけ置くつもりで来たんだ」

「早朝に出ていったから空いているよ。クリーンアップしてないから少し待ってもらえればOK。
 あ、掃除する間にそこの朝食でも食べなよ」

受付の前にソファーがあり、寝起き顔の宿泊客がTVを観ながらトーストやシリアルを食べていた。

「ありがとう。コーヒーだけもらうことにするよ」

「掃除終わったら声かけるよ。荷物入れるなら鍵付きのロッカーがあるからそれを使って」

朝の忙しい時間にうれしい対応、こういう親切な宿、スタッフは口コミではわからないからね。
朝からベッドが使えるなんてラッキーだ、横になるわけではないが居場所が確定する感じが心強い。
しかも備え付けのロッカーが「カギ付き」だなんてやはり新しい宿にして正解、
一応ワイヤー・ロックは持っているけどね。
ああ、それにもまして淹れたてのコーヒーがウレシイのさ。

コーヒーを飲みながら、ネットでレンタル自転車『Bicikelj(ビツィケリュ)』の利用予約を済ませる。
http://en.bicikelj.si/ (ビツィケリュ公式サイト)
ミネアポリスやデンバーでも使いこなしたキオスク式のレンタル自転車がここリュブリャーナにもあるのだ。
ああ、もっともあれはロンドンだかパリだかが発祥だから、こちらさんが本場か。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-10-20 (ミネアポリス取材行)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08 (デンバー取材行)

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1週間の基本料が2ユーロ、キオスク・スタンド((写真8)から借り出し、
1時間以内に戻せば無料、それ以降は別途料金がかかるシステム。
市内各所にスタンドはあるのでマメに返却すれば1週間1ユーロだけで済ませることも可能だ。
最近日本の各地にも導入されてきているけど、基本料金が高すぎて、意味を成してない、
あれって市内の自動車流入を削減するとか、排ガスを制限するためのものじゃないのかね、
新たな「商売」にしてどうする。

ホステルの眼の前にある『チボリ公園』の入口にスタンドがあることを確認してきたので、
今日一日でスロヴェニアの首都を自転車で回りつくしちゃおうじゃありませんかい、という作戦。
時間があるときにバス・ターミナルも立ち寄れば、明日以降の行程も見えてくるというわけで。

荷物をロッカーにしまい、カメラを用意し、ミネラル・ウォーターを買い、さあ、自転車で街めぐりだ。



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