So-net無料ブログ作成

第十一夜 Entry to Republika e Shqipërise @Tirana [Albania]

IMG_0440.jpg

―DAY11― 8月15日

宿の窓からの景色は格別で、雲が多い朝の空さえも清々しく思えた。

やはり「世界遺産に泊まる」というのはちょっと別格の気分、
たとえそれが1,000円ちょっとのドミトリーであっても、だ。

8:30、手際よくチェックアウトを済ませ、歩いてバス・ターミナルへ向かう。
ひと気がなく、乾いた風が吹き抜ける朝の城内も気分がいい。
そこには普段の生活を営む地元の人しかおらず、世界遺産を貸切にでもしたような気分に浸れた。
こうなるとなんでも気持ちがよくなり、なんでも素晴らしく思える、
旅先の気分なんてそんなカンタンなキッカケでカンタンに移ろゆくものだ。

IMG_0441.jpg
時間通り9:00にやって来たバスは古いタイプのメルセデスで、明らかに使い込んだ中古とわかる代物だった。
荷物をさばく年配のドライバーも心なしか古びているような気がしたのは彼の服装からだろうか。
昨日買った「ウルッツィ」行きのチケット代金は9ユーロ、
どうやらこのバスはアルバニアの会社の運営のようで、トランクに入れるバゲージの代金を取られることはなかった。

3時間走り続け、12:10、『Ulcinj(ウルツィニ)』のバス・ターミナルに到着。

チケット売り場で「ティラナ行き」を尋ねると「次のバス、10分後よ」と窓口の女性がいう。
同じバスから降り、並んでいたブラジル人女性、イタリア人の2人組と「次のバス、10分後だってさ」と言い合い、
ともに慌ててトイレに駆け込み、チケットを手に指示された乗り場に向かった。

そこに待っていたバスも同じように古いタイプのバスで、
Wi-Fi付きを謳い文句にクロアチアやモンテネグロを走っていた最新型とは明らかに一時代も二時代も異なるものだ。
チケットを見せたものの「席がないよ」とドライバーは両手を広げてみせる。
時間がないこともあって、こちらは4人で「このバスのチケットはある」とケンカ腰。

トランクに4人がそれぞれ勝手に荷物を押し込み、悶着を続ける。
車内に乗り込み、見渡すと本当に席はすべて埋まっていて、自分たちが座るイスは一つもなかった。

IMG_0400.jpg
「シートない、ってなんだよ? チケットあるのに」

4人で口を揃え、ドライバーに文句を告げる。

「待て、待て。なんとかするから」

ドライバーのおっちゃんはカタコトの英語でそういうと、どこかに姿をくらました。

「おいおい、席ないのにチケット売るなよ」

「これ、次のバスに回されるのかね?」

「次のバスは16:30とか言ってたぜ」

4人はいったんバスを降り、ドアの前でブツブツ語り合いながらおっちゃんが戻るのを待った。
するとおっちゃんはすぐに戻ってきたのだが、小さなプラスティック製のイスを4つ手にしていた。

「ここ、ここ」

そういってそのイスを通路に置き、そこに座れ、という身振りで4人を促した。
それを見て通常席に座っている乗客が大爆笑しはじめた。
旅行者だけであろう車内の面々はドライバーのあまりにも常識はずれな対応にバカウケしているのだ。

IMG_0403.jpg
温泉旅行は [Yahoo!トラベル]

まるで4人は自分たちが笑われているかのような気分に陥っていた。
乗客はみな各地からここで乗り継いでいるのであろうから、
ちょっとした到着時間の前後でこの状況になるか、ならないかの違いでしかないのだ。

「おい、これかよ」

プラスティック製のイス、といっても風呂場で使うような腰かけるだけの小さなアレ、
BBQやテラス席で腰かけるようなシロモノでないのはモチロン、背もたれすらないヤツだ。
文句を口に出してみたが、こうなるとイスを蹴り上げて次のバスを待つか、あきらめてイスに腰を下ろすか、の二択。
車内に進むことに躊躇したが、おっちゃんはエンジンをかけはじめた。

もはや考えたり、文句を言っている時間すらない。

あきらめて4人それぞれが通路に置かれたイスに腰を下ろした。
車内は爆笑から拍手に変わり、それに合わせるようにバスは走り出した。

通路に腰かけた自分たちを労わるかのように周りの席の旅行者がアレコレ話しかけてくれていた。
動き出しと同時に各所で「ハイ・ファイブ」を求められ、(ハイタッチってのは日本語英語ですよん)
「どの街から来たの?」とか「ナニ人?」とか、しばらくは退屈しない車内が続いた。

通路の一番後ろに座ることになったのだが、左側は使うことができないトイレがあり、
そのドアに寄りかかることができたのが幸いだった。
右側は非常口でステップがあり、荷物も置けて芦野も伸ばせたので息詰まる感じなく、座っていることができた。
その後ろの最後部のシートを陣取っていたのは3人組のドイツ人で、
彼らは知っている日本語で話しかけてきたり、バカでかいチョコレートをくれたり、
互いにバカバナシをしながら過ごすことができたのも大きかった。

IMG_0428.jpg
13:15、おしゃべりが尽きる前にバスは国境に到着した。

バカンス・シーズンのためか、小さな検問所は混んでいた。
ドライバーが乗客のパスポートをまとめて集めていくだけだったので、こちらは車内で待てばいいだけだったが、
このオールド・バスは「走らないとエアコンが効かない」というハンデを抱えていた。

それでも「イス」がもたらした奇妙なアクシデントのせいで車内では話が尽きず、あちらこちらが楽しく盛り上がっていたが、
通風口からは生暖かい空気しか出てこず、窓もない車内は徐々に熱が増し、空気が澱みはじめていた。

30分ほど経った頃だろうか、フランス女性がしびれを切らし、
こちらの目の前にやって来ると非常口のドアを勝手に開け放った。

それと同時に車内には新鮮な空気が流れ込み、みなが喝采を上げた。
なにしろ昼のこの時間、エアコンなしの車内はサウナでおしゃべりしているような状況だ。
前方席の客たちは前のドアを勝手に開け、外で涼む人もいたが、
後方席はそれもできず、顔から汗を垂らしてガマンしていたのだ。

非常口を開けたフランス女性はドアにぶら下がり、外の風を感じている。

結局、50分経った14時過ぎにようやくパスポートが配り戻され、
バスは動き出し、車内にはエアコンの風が戻る気配が走った。

4ヶ国目の突入も感慨が薄いまま、ようやく走り出すかと思っていると、
非常口が開いていることに気づいたドライバーのおっちゃんが、
かなりの剣幕でまくし立てながら、バスを降り、右後方に回っていく。

「誰が開けたんだ! 非常口だぞ!」

「わたしよ。あんな状況、耐えられないわ!」

初めは威勢よく怒っていたおっちゃんだったが、フランス女性がまくし立てる強い英語に尻尾を巻き、
おとなしく非常口を閉めることだけに専念し、運転席に戻った、う~ん、ヨーロッパ女性は強いね。

IMG_0412.jpg
即時にお部屋を確保・予約完了♪ピーク時期・直前でのホテル予約も安心!

「ねえねえ、そのイス、座らせてよ」

エアコンの風が戻り出した頃にドイツ組の一人が奇妙なお願いを申し出てきた。

「ここに? いいけど、ラクじゃないよ」

「いいのいいの、変わって変わって。こういうのオモシロイからさ。後ろのシートでゆっくりしなよ」

そういうと風呂イスに腰かけ、友達におどけた写真を撮ってもらいながら、座り心地などを確かめている。
オモシロ半分かもしれないが、あるいはこちらを見かねて、席を変わってくれたのかもしれない、
なんて思いも頭をよぎったが、彼の素振りを見ているとどう考えてもオモシロがっているとしか思えなかった。

確かにいくら旅先とはいえ、国境越えの国際バスでプラスティック製のイスは度を越えている。
アクシデントをおもしろがれるのか、始終文句をいい続けるのか、で旅の質はかなり変わってくるのだ。
この時間のバスでアルバニアに向かえることが風呂イスの苦痛を上回っていることに、自分では早くから気づいてはいた。

「アンタ、最初から座りたかったのね」そういう感じで彼の振る舞いはおもしろくもあったが、
実はこのドイツ組とはこれを機会にすっかり仲良くなり、少しの間、旅を共有することになっていく。

エアコンで快適さを取り戻した車内はおしゃべりの元気も取り戻したが、バスは1時間もかからずに停車した。

IMG_0477.jpg
14:50、どうやらミニバスに乗り換える場所に着いたようで、外でバスを待っていたオヤジさんたちに促され、
ここがどこかもわからないまま、それぞれがミニバンに荷物を移し替え、席が埋まると次から次に発車していく。
落ち着いたミニバンの窓越しにカンバンを確かめるとどうやら『Skadarsko(シュコダル)』の街のようだった。

ミニバンで同席したカップルと話しをすると、オージーの彼らはなんと1年間の旅をしているらしい。

「1年? キミらからすると1ヶ月なんか短くて笑っちゃうね」

「でも日本人は長い休暇を取る習慣がないよね? それなのに1ヶ月は充分長いでしょう」

「いや、そんなことよりもカップルで1年はうらやましいです、ホントに」

アジアからはじめた彼らの旅はまだ半分、これから東を回り、そのあと西ヨーロッパが待ち受けているらしい。
こちらは短い一ヶ月の旅だが、宿で、乗り物で様々な国籍、人種、目的の人たちを会話を交わし、擦れ違っていく。
カラダの中の細胞が少しずつ変貌していくような気分になってきていたのは大げさだろうか。

IMG_0681.jpg
世界中8000万人が利用する話題のホテル検索サイト『トリバゴ』

エアコンが効き、背もたれもある快適な車内で他愛のない話しをしていると、
16:50、ミニバンはアルバニアの首都・ティラナに到着したらしい。

というのもバス・ターミナルでもない街外れのロータリーに放り出された形で右も左も西も東もわからない状況だった。
なにせこちらは市内の地図も現地の通貨もなにも持ち合わせていないのだ。

8時間のバス旅が終わり、激しくクルマが行き交う通りで少しばかり途方にくれた。


コトールからウルツィニ、シュコダルを経て、ティラナへ
map08.jpg
blogramランキング参加中!
blogramによるブログ分析

【新発想の車中泊マット】段差解消 車中泊マット【日本製/レヴォルヴァ】【SOVIE】

【日本製 XースリーパーS】 床付き無し!しっかり快適安眠保証で洗える!

キャンピングマット・シングルサイズ 自動膨張式 車中泊マット 防災用にも

★遮光サンシェード★遮光カーテン★ 日よけや車中泊のプライバシーに!


nice!(30)  コメント(0)  トラックバック(2) 
共通テーマ:旅行

nice! 30

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 2