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第十一夜 Arrived in the Capital @Tirana [Albania]

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道行く人に声をかけ尋ねた、なにせここがティラナなのかどうかも確かではないのだ。

「ティラナのセントラル(中心地)に行きたいんだけど」

「それならその道をまっすぐ行けば広場に行き当たるよ」」

「ありがとう」

ティラナまで運ばれてきたことは確からしい、礼を告げ、歩き出そうとすると声をかけられた。

「どっちが街の中心だって?」

バスで一緒だったドイツの3人組だ、彼らは違うミニバンで少し遅れて降り立ったらしい。

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「あっちに進めばいいらしいよ」

「一緒に行っていいかな? 宿のアテとかあるの?」

「一応、街の真ん中に近いところにホステルをブッキングしてあるんだ。
 道のりはざっくりメモは取ってあるけど、詳しい地図はPC広げないと分からない。
 そちらは宿は決まっているの?」

「僕らはノー・アイデア。 そこはいくらぐらいの宿? ホステルなの?」

「ドミで9ユーロぐらいかな、あ、朝食が付いてこの値段だったよ、気になるなら一緒にきてみる?」

「朝食ついてその値段はいいねえ、ベッドに空きがあるといいなあ。
 まあ、なくても近隣に似たような宿はあるでしょ、じゃあ、僕たちを連れて行ってよ。
 あ、でもその前にATMでお金降ろしたいんだけど」

「かまいませんよお、宿までご案内いたしましょ~。
 そうなると宿のマネージャーから手数料もらわないといけないな、3名様、ご案内!ってね」

「モウシワケ、ゴザンセン」

ということでこちらがブッキングしたホステルまでの道行きを共にすることになった。

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どうでもいい話だが、途上国にいる宿の客引きやホテルを案内したがるタクシー・ドライバーは、
ウォーク・イン(当日飛び込み)の客を案内して、幾ばくかのマージンをもらい、小遣い稼ぎをしている。
安宿ならばその分は客に上乗せさせるので、メイワクでしかなく、
親切顔して案内してくれるアナタの横にいるソイツはあなたの顔が通貨マークにしか見えていないというわけだ。
先の言葉はお互いそれを分かったうえでのジョークですね。

特に急ぐわけでもなく、話しながら歩く仲間がいるのは悪くない。
激しく車が行き交う通りを車内での続きを語らいながら、ATMを探しつつ、歩いた。

3人は大学時代の同級生で、今は別々の仕事をしているが、夏のバカンスにイスタンブールから西に向かっているらしい。
陽気でおしゃべりなルーカス、物静かな女性のマルガレッタ、
そして時折、妙な日本語を挟んでくるパペルは仕事を辞め、秋から大学に戻り、勉強をはじめるという。
年齢はバラバラだが、3人が30代の社会人ということもあり、こちらも話しやすくあった。

「ダメだ、ここのATM、降ろせない」

海外のATMには系列銀行のキャッシュ・カードで降ろせるものとクレジットカードでキャッシングできるものがあり、
彼らは事前にドイツで作って来たキャッシュ・カード対応のATMを探しているようだった。

「ま、歩いているうちに降ろせるマシンが見つかるんじゃない?」

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日本と異なり、ヨーロッパの場合、街角のアチラコチラに剥き出しでATMが設置されている。
2~3つ試したところ、3人のうちのひとりが手数料なしで降ろすことに成功した。

「よし、これで飢え死にしないぞ。フフフ、キミタチはお金を持っている僕の言うことを聞きなさい」

アルバニアの通貨「レク」の紙幣を手にして、ルーカスがおどけて見せた。

「よーし、まずCAFEに行こう。さすがにバス移動で疲れたよ、冷たいものでも飲んで休憩しよう」

「え、両替してないからまだお金持ってないけど」

「だから僕のいうことを聞きなさいって、心配ないから。みなCAFEを探すのだ!」

彼の言葉に促され、大通りを一本入ったところの路地にカフェを見つけ出し、4人で足を運んだ。
それぞれが重い荷物を床に投げ出し、ソファに腰を下ろしたり、ストレッチでカラダをほぐしたり、バス旅の緊張を解き放った。

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「ねえねえ、ここ、どこなの?」

店員の少年は英語がまったく通じないようだったが、
パベルがバックパックから引っぱり出し、差し出した地図を広げて見せると現在地であるこの場所に印をつけてくれた。

どうやらミニバンから降ろされたこの辺りは街の西側の外れのようで、
道を尋ねたオジサンが言った通り、
まっすぐ向かえば街の中心である『Sheshi Skenderbej(スカンデルベグ広場)』にぶち当たる。
この広場がわかれば、北東の方角にホステルはある、ということだけは感覚で掴めていたので、まずは安心した。

冷やされた缶飲料を氷の入ったグラスに開け、ノドを潤し、小休止したのち、街の中心に向けて歩いた。

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スカンデルベグ広場まで大した距離はなく、5分ほどでもっともアルバニアらしい場所に辿り着いた。
市バスを待つ行列や買い物袋を提げた人が慌ただしく行き交う風景は首都らしい光景であったが、
大きな銅像にモスクと、これまでの西側の首都や街とはかなり毛色が異なっていることは確かだった。

だだっ広い広場を横切り、『Luigi Gurokuqi』通りを辿り、小さな市場が並ぶラナバウトをやり過ごし、
未舗装の路地にある住宅地を歩くと10分ほどで『Hostel Albania』を見つけ出すことができた。

頑丈な門構えをくぐると雑多な感じの広い庭があり、その正面に建物がある。

「すぐ見つかってよかったね。でもずいぶん、豪勢な敷地だ」

「ホステル、というか、民家だよね、これ」

軽口を叩きながら、フロントへ向かい、名前を告げ、予約番号を伝えると、ベッドの番号をくれた。(写真3)

「この3人も泊まりたいらしいんだけど」

「ダイジョウブ、ベッドはあるよ」スタッフがいう。

「よかった、これ以上、捜し歩かなくて済むわ」

「案内してくれてありがとう、カタジケナイ」

パペルの日本語は明らかにヘンだったが、使うタイミングを間違っていないので、常に妙な気分にさせられた。

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「じゃあ、荷物置いたら出かけちゃうから、またね」

両替もまだだったことといつもの好奇心で、すぐに街の中心に舞い戻り、歩いて回りたかった。
時計はすでに18時に近い時間を指していたので、
現地通貨を手にしたらどこかでまともな食事を摂ってしまえばいいとも思っていた。
なにせ今日一日、バスで過ごしただけなので、キモチ的にもカラダ的にも凝り固まっていた。

「ぼくらはシャワーでも浴びて、休憩することにするよ、またね」

3人に別れを告げ、ティラナの街に繰り出したものの、3軒巡った両替店はいずれも閉まっていた。
「時間が遅いのか?いや待てよ?両替店はそんなに早く閉まらないよな?あれ?今日、ひょっとして金曜か?」
頭の中を疑問符だけが駆け巡るが、答えを求めようがなく、現状でどうするかだけをシンプルに考えなくてはならなかった。

使えるATMを探し出し、クレジット・カードでキャッシングし、手際よく「レク」を手にした。
国や通貨によってはこちらの方が得だったりもするので時々、使う手段だ。
両替できない状態だったので、選択肢はない、金ナシなら今夜は飢えてしまうのだ。
ちなみにこの「レク」、換算レートが¥1=0,99レクなので、
表示金額をそのまま呑み込んでしまっていいという日本人に都合のいい通貨だ。

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ひと通り夕暮れの中心地を巡った後、宿に向かう手前のラナバウトに戻った。

そこには小さな市場やカフェ、食堂が軒を連ねていて、
ケバブやキョフテを網焼きしている旨そうなニオイとケムリが歩道に並べられたテーブルのほうにまで立ち込めていた。
さっき通り過ぎた時点でその香ばしい薫りにすっかり魅了されていたのだ。
どうやらイスラム系が多いせいか、レストランや食堂にはトルコ系に似た料理が多いようだ。
そう、イスラムの国では「金曜」は我々の日曜同様「安息日」、だから両替店も閉まっていたのかもしれない。

自分の中の約束を履行するため、一番混んでいる店を狙い、入っていった。


「Hostel Albania」はこの場所 ↓ ★こちらにレビューあります
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