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第九夜 Stray Sheep @Dubrovnik [Croatia]

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―DAY9― 8月13日

今日も空は青く、アドリア海に豊潤な陽光が降り注いでいる。

早寝したので、朝早く目が覚めたが、連泊であることを思い出し、二度寝を決め込んだ。
う~ん、やっぱりシングル・ルームは気楽、
おまけにパッキングの必要もない連泊なので、気分も身体も大いに緩んだ。

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昨夜は陽が落ち、写真が撮れなくなったところで、旧市街から撤退した。

教会での祈りが通じなかったのか、一人でレストランに挑む勇気が湧くことはなく、
迷える羊のまま、食事は後回しにすることにした。
帰りのバスは西側の『ピレ門』前の広場から出るのだが、一向にやって来る気配がない。
夜になって極端に本数を減らしたのか、あるいはディナー・タイム近くになり、
辺りでも混みまくっている道にハマっているのかわからなかったが、
いつやって来るかもしれない路線バスを待ち続けるのはバカらしく思え、歩いて帰ることを決めた。
もっともドゥブロヴニクの地元の雰囲気を知りたい、という好奇心がそう理由付けただけなのかもしれないが。

来た時のバスの車窓から高低差が大してないことはわかっていたので、歩きでもイケるなと見当はつけていた。
バス・ルートを歩く形になるので、疲れたらやって来たバスに乗ってもいいのだ、
都合のいい言い訳を考えておくと歩みが少しはラクになるような気がした。

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実は旅先に限らず、日常生活でも「一度通った道を覚えている」という特技がある。

おそらく履歴書の「特技欄」に書くには至らない才能なのだが、いわゆる「方向音痴」とは真逆の性質で、
旅先では一度歩いた道は覚えてしまっていて、戻ったり、ふたたび訪れたときに苦労しないで済んでいる。
普段の運転だと知らない土地、道以外でカーナビをつける必要がなく、
フランス娘に積まれたナビは自分の住む県内ではほぼ無用の長物と化していた。

その特技が一番生かされたのはツアー・コンダクター時代で、
繰り返し訪れる観光スポットの入口、レストランや土産物屋など地図を見ることもなく、
慣れた道を散歩する「犬」のように客を連れて案内していた。

そんな感じで一人の旅先でも一度通った道ならばなんら問題はなく、
たとえそれがモロッコ・フェズのあの入り組んだメディナだろうと困ることにもならなかった。
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-06-01 (モロッコ紀行)

ところがスプリットの宿探しのように初めて訪れた街を勘だけで歩き、
グルングルンと迷宮の子羊に成り下がり疲れ果てる、という暴挙を繰り広げることもあり、
「特技」以上に「雑な性格」という「難点」を抱える旅人なので、とても賢い「犬」ではなさそうだ。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-01-09 (迷走@スプリット)

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細長いドゥブロヴニクの街を今度は南東から北西に向かって歩く。

途中、突き出た小山のような『LAPAD(ラパッド)』という地区が眼下に見える。
別荘や高級ホテルが点在するエリアで、夕闇にその飛び出した半島のようなシェイブが美しい。(写真4)
左手にそれを見ながら狭い道路がうねる丘へ進むと民家が立ち並んでいて、
地元の商店がチラホラと点在していた。

「まだやってますか?」

看板の灯りはついてなかったが店内が明るい食料品店に入った。

「OKよ」

旧市街でなにも買わなかったので、帰宅のお供とばかりに2Lの炭酸水のボトルを5クーナで購入。
フフフ、これで迷ったとしてもこいつがなくなるまでは歩き続けられるぜ。

などと戯言を並べている間に宿に着いてしまった、旧市街を出てから30分ほどの道のりだった。

おばあちゃんに教えてもらったバス停前のパン屋でピザとパンを買い、部屋への階段を降りた。
明かりのついていた母屋に声をかけ、コーヒー用のお湯とカップを貸してもらい、
部屋でカンタンな夕食を済ませる。
周辺には民家しかなく、21時だというのに静まり返っていた。

窓を開け放つと乾いた風が部屋に飛び込んできて、エアコンなしでも心地よく、気づくと眠りに落ちていた。

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ゆっくりと二度寝から起き出し、熱いシャワーを浴び、のんびりパンを齧りながら、PCを立ち上げた。
実は昨夜、寝落ちする前にメール・チェックしたのだが、ちょっとした驚きがあったのだ。
ザダールで同じドミトリーの隣のベッドに泊まっていたハンガリアンのダニエルからメールが来ていたのだ。
あの「東海? 日本海?」といってきたちょっと変わったハンガリアンだ。

彼はザダールの数日後、ドゥブロヴニクの南の街で
ガール・フレンド(英語の場合「カノジョ」という意味)と待ち合わせる、ということを話していた。
それまで日にちがあるので「湖にでも行こうかな」という感じで、
こちらが発つ朝に起こしてくれないか、なんてことを言っていたのだ。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-01-04 (ドミトリー@ザダール)

メールは「あの朝、起きられなくてごめん」なんて感じではじまっていて、
「13日にドゥブロヴニクに行くので、夕方にでも待ち合せないか」という内容だった。
こちらが湖を巡り、スプリット、ドゥブロヴニクと辿るルートであることは伝えてあったので、
もし日にちが重なるなら、と誘ってくれたのだ。

彼はバイクなので、隣り町からこちらの宿の近くまで出向いてくるという、17時でどうだ、との伺い。

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旧市街のわかりやすいところで待ち合わせすればいいのに、と思ったのだが、
観光地以外の普通の街も歩いてみたい、というこちらが考えるようなことと似たようなことを記してきたので、
ちょっと笑いながら、宿の場所の地図を添え、返信した。
こちらがスマホじゃなく、PCでしかメールを見られないことと日本の携帯の番号も記して。

夕方、宿まで来てくれる、となると昼間に旧市街に出向き、また戻ってくるのはメンドウな気がして、
ペースは一気にスロー・ダウン、ベッドの上で地図を広げ、今後の旅のルートを練り直すことにした。

北に向かい、モスタル~サラエヴォとボスニア=ヘルツェゴヴィナ・ルートを進むか、
このまま海岸線を南に進み、コトール~ティラナのモンテネグロ&アルバニアのルートを進むか、
決め兼ねていた。
北へ進めば時計回り、南に向かえば反時計回りでバルカン・エリアを巡ることになる。
どっちが動きやすく、どっちが早く、どっちが旅しやすいのか、迷っていた。
「モスタルがきれいだったよ」
ザダールやスプリットのドミで会った人たちがそう口にしていたのも気にはなっていた。

地図とたっぷり睨み合い、結果が出ないことがわかり、歩いて港にあるバス・ターミナルに向かうことにした。

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途中、地元の店などを眺めつつ、寄り道しながら港への坂を下りていく。
『Gruz(グルージュ港』に向かい、右手がバス・ターミナル、その左に大きなスーパー・マーケットが隣接し、
背後に大きなクルーズ船が停泊している。(写真6)
さらに左にはフェリー・ターミナルのビルがあり、国際路線も就航しているのだろう、
建物の中には出入国審査場と税関が備わっていた。(写真7)
不用意にカメラ片手に建物の中に入っていくと厳めしい顔をした警備員にジロリと睨みつけられる。
咎められることこそなかったが、旅行者でにぎわうロビーに舞い込んだ羊でしかなかったようだ。

チケット売り場の窓口で、長距離バスの料金と時間を尋ねた。(写真8)

サラエヴォ行きは8時と13時発、186クーナで6時間かかり、
コトール行きは146クーナで2時間、10時、11時・・・と1時間毎と本数が多かった。
モスタルへは126クーナで3時間、所要時間と金額のバランスがバラバラなのは路線によって、
先方の国のバス会社との取り決めだろう、ここから先はクロアチアではないのだから。

割安なのは一気にサラエヴォ突入作戦、ただし6時間のバス旅というハンデ戦だ。
朝もゆっくりのコトールなら、着いてからもランチできるぐらいのゆとり満載、ただし割高感が否めない、
人気のモスタルは時間も料金も手頃、ただし美しい橋とキレイな河しかないのでちょっと引っかかっている。

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明日はこの街を発つつもりでいたのでバス・チケットを購入してしまったほうが煩わしくないのだが、
すぐには決めきれず、隣のスーパーに逃げ出し、冷えたコークを店先で開け、作戦会議。

さあ、明日はどっちの道のりに行くのでしょう。



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