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Kaunter Teksi @Kota Kinabalu [Malaysia (Borneo)]

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タクシーはクルマの少ない道を飛ばし、10分ほどで市内らしき場所に到着した。

ネットでブッキングした安宿の地図を見せていたので、
ドライバーは宿の真下の通りに横付けしてくれた。

「サンキュ」

そういって40リンギットを渡し、釣り銭の端数は受け取らずにおいた。
う~ん、距離からすると高けえなあ、タクシー。
と深夜の空港着で文句をいうほうがおかしいのだが。
あれ、深夜割り増しは取らなかったぞ、ドライバーくん。

階段を上がり、2階のゲストハウスの入口にあるブザーを鳴らす。

ブッキングの際、12時過ぎのアシアナ便で到着することは伝えてあった。
メールに返信はなかったが、深夜フライトの宿泊客にも慣れているであろうし、
開けて待っていてくれるだろうと、勝手にこちらで高を括っていた。

鉄格子の向こうのドアのその奥が事務所らしいのだが、
明かりは消え、真っ暗で、ブザーを鳴らし続けてもドアを叩いても反応がなかった。

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10分ほど鉄格子の前で格闘してみたが、新たな展開があるとも思えず、
荷物をそこに置いたまま階段を降り、通りの向かいで営業している食堂に飛び込んだ。

「電話を借りれませんか」

「どうしたの?」

食堂のオッチャンが気さくに受け答えしてくれる。

「正面のゲストハウスに予約を入れていたんだけど開いてないんだ。
 深夜便で到着することは伝えてあったので、待っていてくれるはずなんだけど」

「なるほどね。わかるからかけてあげるよ」

そういって携帯電話を取り出した。

「ダイジョウブ、そいつ友達だから」

こちらが不安そうな顔をしていたのかもしれない。
なかなか出ない電話を片手にこちらを安心させるかのようにオッチャンがいう。

3回かけ直し、ようやく電話口に受け答えがあった。
オッチャンがマレー語で小気味よく語り掛けている。

ああ、どうやら宿ナシにならずに済みそうだ。

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「OK、ついてきなよ」

そういうと携帯電話片手にゲストハウスへ向かった。

階段を上がり、数度、ブザーを押すと眠そうな顔をしたスタッフが扉を開けた。

「こいつ、寝ると起きないんだよ。おまけに早寝だから」

寝起きのスタッフ、フライトで疲れたこちらを尻目に、
元気なオッチャンだけがニギヤかにまくしたてている。

「わ、やっと入れた。ほんと、テレマカシ(ありがとう)」

繰り返し礼をいうと照れくさそうにオッチャンはおどけてみせる。

「これでホームレスにならずに済んだね」

「もう遅いから、明日、お礼に食堂にご飯食べに行きますよ」

「ああ、いいね、それ。いつでも待ってるよ」

握手を交わすとオッチャンは機嫌よく手を振って店に戻っていった。

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安眠をジャマされたスタッフは終始、機嫌の悪いまま、
宿の設備や部屋を最低限の説明で案内してくれた。

1:30、ようやくベッドに倒れこんだ。


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