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第十二夜 Tranquil Scene @Tirana [Albania]

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おじいさんに感謝を述べ、モスクを出るとそこには戸惑った感じの東洋人がいた。

「どうしました?」

ボスが一緒だったので問題解決の助けにもなるだろうと思い、日本語で普通に声をかけた。

「あ!日本の人でしたか。現地の人と一緒だから別の国の人かと」

確かに無精ヒゲも髪もボサボサなので、そう見えても仕方がない。
前にも記したが、バルカン・エリアで東洋人を見かけると個人旅行の中国人か、ツアー・グループの韓国人がホトンドだ。

「あはは、がっつり日本人です。で、どうしました?」

「いやあ、このモスクって立ち入り見学できるのかな、って思って。
 あのおじいさんが見張っているので」

「入れます、入れます。今、観てきたところですし。
 あのおじいさん、ただの説明好き、世話好きのじいさんです」

「あ! そうなんですか! では」

こちらの言葉に後押しされたかのようにモスクへ入って行った。

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「ジャパニーズ?」

今のやり取りを見ていたボスが言う。

「そうです、めずらしく日本の人です」

「ふたりの会話を一言たりとも分からなかったよ」

「それをいうならわたしもあのおじいさんのアルバニア語がまったくわかりませんでしたよ」

「あはは、確かにそうだ。でもこうして国も言葉も宗教も文化も違う者同士が交流してる」

「ですね、そういう現象がおもしろくて旅をしています」

「そういうお客さんをたくさん運んできてください。では、ここでお別れです」

「ありがとうございました。お世辞ではなく、ぜひまたティラナを訪れたいです。
 あるいはツアー・ガイド(添乗員のこと)として日本人グループを連れてきてもいいですね」

「ああ、それはいいアイデアですね、お客さんを運んでくれるのはうれしいですね。
 取材でもかまわないのでぜひまたいらしてください、その時はまたご飯でも食べましょう」

案内役をかってくれたボスに礼を述べ、握手を交わし、別れた。
そんなあいさつを交わしている間にモスクを見終えたのだろう、入れ替わりでさっきの彼が姿を現した。

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「さきほどはありがとうございます」

「いえいえ、ただのお節介です、こちらこそすみません」

「ホント、現地の人といたんで日本語で話しかけられて驚きました。
 ここいらの国だと日本語で話しかけられることが少ないので」

「ああ、たしかに。そういえば旅先で日本人なのに英語で話しかけてくるヤツ、いません?」

「います、います。アレはナゾですね」

これまで行ったところやこれから向かうところなど互いに旅の情報交換を語らう。
京都からやって来た彼はなんとクルマとドライバーをチャーターし、
バルカン・エリアの田舎町までくまなく巡っているという。
驚くことに歴訪国数はこちらを遥かに凌ぐ旅のベテランでもあった。

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「カフェで冷たいものでも飲みませんか? ここで立ち話しているとこの日差しでぶっ倒れそうだ」

午後の一番熱い時間、陽射しはおかまいなしに肌を焼き、気温は天気予報がいっていた数字を軽く超えているようだった。

「そうしたいんですが、夕方を前にティラナを発つんで慌てて市内見学してるんです」

夕方前にドライバーと約束してあり、そこから次の街を目指すそうだ。

「おおっと、それは残念、でも予定のジャマしちゃいけないですね。
 じゃあ、ここでサクッとそれぞれの旅に戻りましょう」

「いや、日本の人と話しするとは思わなかったんで楽しかったです」

「それはこちらもです」

握手を交わし、それぞれの旅路に戻った。

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といってもアポイントメントを消化したこちらに予定はなく、あとはブラリとティラナの街を巡るだけだ。
市内地図を広げ、行き先を考えていると声をかけられたので、一瞬、身を固めた。

「Can I help you?(どうしました?)」

「あ、『マザー・テレサ広場』に行こうかと思って」

「それならあっちですよ、ただし今、工事中ですよ」

「そうですか、ありがとうございます」

アヤシイ客引きの類かと思い、身をすくめたのだが、普通に親切に道を教えてくれた人だった。
この「親切道案内」はアルバニアに留まらず、この後、バルカン・エリアのどこの国に於いても見受けられる光景で、
地図を広げればモチロン、地図なしで立ち尽くしていても、止めどなく助けてくれる人が現れる。
まるで「困った人がいたら助けなさい」と教わった学童のように普通の人が当たり前に声をかけてくれるのだ。
この後の行程でも「May I help you?」というセリフを何度耳にすることか。

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廃墟と化しているピラミッド型の『Pjeter Arbnori(国際文化センター)』を通り過ぎ、(写真3)
緑が深い公園に囲まれた『ティラナ大学』に迷い込み、
オスマン朝時代に築かれた『Ura e Tabakeve(タバカヴェ橋)』を渡った。(写真4)

なにを考えるでもなく、ただただ無目的に歩き回ったのだが、それほど疲れを感じてはいなかった。
知らない街でカメラ片手であれば、いくらでも歩けると思っている、好奇心が尽きない限りは。

歩けば歩くほどアタマの中は空っぽになり、感覚は研ぎ澄まされていくのだが、
その状態になり、この国にはうるさいチェーン店やファストフードがないことに気づかされた。
カンバンがないことはもちろん、世界中に蔓延る有名店の類いがまったくないのだ、それだけでなんと瞳に麗しいことよ。

代わりといってはナンだが、「AFC」なんてジョーダンみたいなフライド・チキンの店はあったけどね。(写真5)

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ツアコン時代、西欧化しつつあったブダ・ペストを訪れたときにも似たような風景だったことを思い出した。
スポーツ・ブランドや清涼飲料水などの騒がしいカンバンはなく、
古い店と石造りのアパートメントが並ぶだけの街並みはくすんだ印象を受ける色合いだったが、
それが割り増しでスマートに思えた。
殺風景といってしまえばそれまでだが、資本主義に毒されてない街というのは清涼感さえ漂っている、
飲料水のカンバンがないのに、だ。

国立美術館の周りは緑の濃い公園になっていて、日陰ではドミノに興じる人たちがいる。
左に折れると『Murat Toptani』という名のキレイな遊歩道が伸び、傍らにはかつての城壁の跡が残されていた。
広場では小さな火鉢で焼きトウモロコシ売りが商売をしている。
歩き疲れてベンチに腰を下ろしたが、この暑さの中、トウモロコシを齧る気にはならないな、と辺りを見回すと、
通りの向こうのジェラート屋が目に留まった、おお~、麗しきオアシス発見。

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吸い寄せられるように店先に立つと、学校帰りの小学生が馴れた感じで、
次から次にビスケットにアイスを挟んでもらったものを手にしては駆け去っていく。
どうやら30レクぐらいの金額を払っていて、ジェラート屋さんは完全に学校帰りの駄菓子屋状態と化していた。

「マンゴーのジェラート、ください」

子供たちの間隙をついて注文を告げる、店名に「MANGO」と書いてあるのだ、マンゴーのアイスが不味いはずがなかろう。

カップに入ったマンゴー・アイス(写真1)は70レク(!)、ベンチに戻り、しばしカフェ・タイム。


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