第七夜 Main Theme @Plitvice Lakes [Croatia]
―DAY7― 8月11日
7:30に起き、シャワーを浴び、残ったパンと淹れたてのコーヒーで軽めの朝食を摂った。
8:00にチェックアウト、スタッフに陽気に送り出され、バス・ターミナルに向かった。
「起こしてくれたら一緒に湖に行く」と言っていたハンガリアン・ダニエルに声をかけるが反応がない。
ブダペストからの長距離移動で疲れているのだろう、
隣りのベッドで寝息を立てる彼を無理には起こすつもりはなかった。
まあ、「一緒に行く」といっても彼はバイクだし、あるいは「イキオイ」でそういったのかもしれないし。
バスは予定通り、8:30に出発した。
満席近く席は埋まっていたが、日曜日と異なり、ソールド・アウトではないようだ。
年配夫婦に家族連れなど、行き先が有名観光地だけあって、乗客はバックパッカーに限らない顔ぶれだ。
ホステルの滞在と出会いがあまりに心地よく、ザダールとの別れは名残り惜しかったが、
本日は旅のメイン・イベント、前から見たかった『プリトゥヴィツェ湖』に挑まなくては。
日数に限りのある旅だからね。
8月5日に成田を発ち、6日にクロアチア・ザグレブ入り、
28日にトルコ・イスタンブールを離れ、翌29日羽田着となるので、
日程的には25日間を数えるが、到着日と出発日を除けば、3週間「だけ」の旅なのだ。
現地滞在日数は23日間、それで10ヶ国を巡ろう、なんていうのはけっこう愚かなる計画なのかもしれない。
昨夜は海沿いの岩場に建つレストラン・バーのようなところに席を移し、3人で話を続けた。
酒に強いハンガリアンとハングクッ・アガシは2本目のビール・ボトルを頼み、
酒に弱い日本代表は初めのボトルの半分を二人に分け、
自分たちの背景や今やっていること、政治的な問題やそれぞれの国の宗教事情などを語り合った。
北京への留学経験があるハンガリアンはバイクで今朝ブダペストを発ち、
次の街で彼女と合流し、クロアチアを巡り、
アメリカで英語を覚えたコリアン・ガールは2ヶ月間ヨーロッパを巡り、今夜の電車でブダペストに向かう、
そしてシンガポールで仕事をしていた元ツアーガイドのジャパニーズはバルカン10ヶ国を巡っている。
年齢も生まれも宗教も言語も異なり、偶然、ホステルで出会っただけの面々、
一方はブダペストを発ち、一方はブダペストへ向かう、
片やアジアについて学んだ者がいて、片や毎月その国を訪れる物好きがいて、それぞれ話しは尽きなかった。
旅を記すにあたり、臨場感を大事にして地名は現地の人の言葉で刻んでいることをお伝えしておきます。
ガイドブックなどではZadar=『ザダル』と記されてますが、
現地では『ザダール』と呼ばれていて、
『リュブリャナ』は『リュブリャーナ』という感じ。
『プリトゥヴィツェ』はクロアチア語と英語ではスペルも変わり、音も変わる。
長い名前は現地でも言いづらいのかメンドウなのか『レイク(湖)』と素っ気ない表現される。
「地名記述がヘンだ」と違和感を抱かれた方は現地で確認してみてくださいませ。
日本語英語を避けたいこととこの日本語地名の問題がこの旅のラストで大きなドラマを生んでくれます。
蛇足ですが『ブダペスト』は旧市街『ブダ』と新市街『ペスト』が合わさり、この名に。
この時はふたりの話しに魅かれ、あらためて『ブダ』の街まで足を延ばそうか、と思ったほどで
それぐらいあの街は美しい。
地図を広げてどう行くかまで考えたのだから、予定のない旅というのはホントにいい加減で困ったものだ。
「そろそろ店を閉めたいんですが」
退屈そうにしていたウェイターがつっけんどんに言って来た。
日曜の夜ということもあり、他の客は捌け、テーブルには自分たちしか残っていない、
時計は1時を指そうとしていた。
「悪いよ、シェアでいいよ」
「いいのいいの、僕が誘ったんだから」
そういってダニエルはこちらが差し出したビールの代金を受け取ろうとはしなかった。
「じゃあ、代わりに明日、起こしてよ。僕もバイクで湖に行くよ」
「OK、それでいいなら」
そんな話しをしながらホステルに戻ると、セルビア人ダンナがクルマで戻ってきた。
「おお、3人でパーティかい?」
「わたし、そろそろ駅に行かなくちゃ」
韓国代表が忙しなくキッチンに置いてあった荷物を取りに行く。
「あ、駅だっけ。クルマで送っていくよ」
「いいねえ、女性は。親切にしてもらえて」
二人でヒヤカシの声をかけ、握手をして別れを告げる、それぞれがそれぞれの時間に戻るときがきたようだ。
バスはノン・ストップで走り続け、きっちり2時間半の11:00に『レイク』に到着した。
西側の『Ulaz2』と書かれた「入口2」で降り、
すぐ目の間の小屋でスプリット行きのバスの時間と料金を尋ねておくことにした。
「増便されているけどラストは16:30、150クーナよ」
「じゃあ、それを一枚」
帰りのバスを確定させ、ひと安心、しかし4時間ほどかかる道のりなので今夜の宿に不安が残った。
通常、安い宿から売れていくので、
暗くなってからの宿探しは「Fully(満室)」となって高い宿を掴む可能性があるのだ。
幸い、週末ではないので「宿無し」になることはないだろうが。
「このチケットを見せれば、ベルビュー・ホテルにバゲージ預けられるわよ」
あまり英語が上手じゃないバイトの女のコだったが、丁寧にそう教えてくれた。
どこかで有料の荷物預けを使うつもりだったので、これはうれしい情報だ。
教えてもらった『Bellvue Hotel』を見つけ出し、
レセプションでチケットを見せるとバゲージ・ルームのカギを渡された。
「勝手に置いて行って」というシステムらしく、後から来た他の客がこちらの後ろについてくる。
「ここかな?」「ここだろうね」そんなことを言い合いながらバゲージ・ルームのカギを開け、
それぞれ空いたスペースに荷物を置いた。
湖歩きに必要なカメラとレンズと水はデイパックに用意してあったので、
後から来た客にカギを委ね、ホテルを後にした。
不用心なスタイルではあるが日々、こうして利用者の善意で動いているのだろう、
山小屋式というか、こういうところの手順は煩雑でなく、機械的でもないほうがいい。
レセプションで聞くと入場チケットは公園入口まで行けばそこで買えるらしい。
おお~、麗しき『プリトゥヴィツェ』にもうすぐたどり着くぜ、と心躍らせる。
晴れ渡った空から降り注ぐ陽射しは今日もサングラスがないとツライ強さだったが、
山あいのため、気温はそれほど高くなく、人の流れに合わせ歩いているとなびいてくる風が心地よかった。
こちら側の公園入口は園内を循環しているエコロジー・バスの「ST2」にあたるらしい、
広い舗道を電動バスが静かに行き交い、多くの人を降ろし、多くの人を乗せることを繰り返していた。
その手前に係員がいて、なにかの標識を手に、行き交う客に説明をしている。
ドコでチケットを買うのか、彼女に近寄って尋ねようとした。
その横には恐ろしい長さの行列が続いてた、公園入口の手前にある山小屋仕立てのチケット売り場から。
ザダールからプリトゥヴィツェへ
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ご訪問&niceありがとうございます^^
水の透明度がスゴイですね(^O^)
by ニッキー (2015-08-27 12:37)
>ニッキーさん
こちらこそご訪問ありがとうございます!
なにしろ美しかったです!!
写真で伝わっているかどうか・・・。
by delfin (2015-09-07 21:53)