Aljunied @Singapore [Singapore]
日が傾き、夜の帳が訪れはじめると、『ブギス』にも人が溢れはじめた。
この国ではほぼ残業はない。
残業代に5割以上の割増賃金がかかるので、会社がさせないといってもいい。
定時を過ぎても働き続けているのは、残業代が支給されない駐在の日本人だけだ。
なのでオフィス・アワーが終わるとオフィス・ビルから一気に人々が吐き出されてくる。
小さな国の小さな町、小さな通りはちょっとしたラッシュ・アワー。
重ねてこの国にはあまり「自炊」という習慣がない。
共働きが多いことが要因といわれているが、外食コストが安いということもその支えになっている。
モチロン女性に年齢・性別に関わらず仕事があり、
選択肢が限られることがない、ということが大きな裏側にあるのだが。
専業主婦はどちらかというと夫婦の母親か姑の役割といった感じだ。
朝食はカフェ、あるいはホーカーズで『カヤ・トースト』にコーヒーで$3~4ほど。
昼食も同じように$3~4、夕食も単品ならば同じぐらいのコストだ。
家族で食べるならほとんどの料理をターパオ(打包・テイクアウト)できるので、
家のダイニングでそれを広げるだけ、食器を洗う手間さえ省かれる。
3食外食しても1000円足らず、
当時、平均月収$1000(約7万円)といわれていたが、
年月を経て、10万ぐらいになったかな。
そのぐらいの収入でも経済的な負担も少ないし、仕事をする女性の家事負担も大きく軽減されている。
DINK(懐かしいな)で30万ぐらい稼ぐことができていて、
子供ができたり、家事で手が足りなければ、アマサン(お手伝いさん)を雇ったりするのが普通。
インドネシア系かフィリピン系女性が住み込みで月額3万円ぐらい、通勤ならもう少し安いはずだ。
移住した初めの頃、友人宅を訪れると彼女らの存在が解せなくて、
友人にそっと教えてもらったことがあった。
その家はHDB(公団住宅)ながら、
バカでかいリビングには電気屋の店先にあるようなでかいテレビが置かれていて、
4人の家族それぞれに個室があり、
豊かだといっている日本はホントに幸福なのか、と考えさせられたりした。
オフィスにも「アンティ」と呼ばれる女性がいたっけ。
お茶汲みやカンタンな掃除などをしてくれるお手伝いのオバサンを会社が雇っているのだ。
初めの頃、小さなダイニングにコーヒーを淹れに行くと、
このアンティがカップを取り、入れてくれるのだが、それがものすごく気恥ずかしかった。
しかもアンティは英語がわからないので、
中国語のわからないこちらとはディス・コミュニケーション、
「砂糖入れないでね」なんてカンタンなことが伝わらなかったりして、なんともむず痒くもあった。
まあ、これは「漢字」という強い武器があったので、なんとかなったけど。
20代だった若僧がお手伝いさんとはいえ、「お茶煎れて」なんていえないですよね、もう。
『Bugis(ブギス)』からMRTで『Aljunied(アルジュニード)』へ。
数駅先なので、歩いてもよかったが、
日が落ちたとはいえ、温度は大して変わらず、まとわりつく湿気はタップリだ。
夕食場所に着く頃にはシッカリ汗だくになる、それには気が引けたので、MRTのエアコンに浸った。
ちなみに悪名高き『Geylang(ゲイラン)』にほど近いこの駅名、
現地発音だと「アジューニー」という感じでいわないと通じない。
『ゲイラン』は清潔で折り目正しいこの国にある色町のエリア。
遊び人が集まるこのエリアにはオイシイモノも集まる、というわけで、
色町のそばにはうまいレストランが軒を連ね、うまいフルーツを食わせる通りもあるのですね。
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「なに食べたい?」
泊まらせてもらっている友人が昨日、そう尋ねてきた。
「『ペッパー・クラブ』でしょ」
ガイドブックを開くと「名物は『チリクラブ』云々・・・」と書かれているが、
チリ・クラブはソースが濃く、カニに勝ってしまっている。
チリ・ソースがウマすぎるのですね、アレは。
その点、ペッパー・クラブはカニの味を損なわず、ペッパーがカニを引き立てている。
しかもブラック・ペッパーはうちの調味料でもっとも消費が激しい大好物だ。
ご飯にかけたいぐらいだし(嘘)、フリスク・ケースに入れ、ツブは持ち歩くことにしているし(嘘)。
「OK、まかせて。あ、『ホワイト・ペッパー・クラブ』食べたことある?」
「え? なにそれ? 知らない、食べたことない」
「最近人気なんだ、じゃあ、それ行こう。明日、仕事あるから店に集合。
アナタならダイジョウブよ~、来られるでしょ?」
土地勘もあるので、いい意味でほったらし、待ち合わせもせずに店の住所だけ教えられた。
ただしその土地勘はここ数年、アップロードできてないので、古いけど。
現地人の彼には仕事があり、旅行者のコチラは時間は有り余っているので迷ったとしてもモンダイナシ、
こんな感じでほったらかしのほうがこちらも助かる。
「アジューニー」の駅を降り、教えられた店に現地集合。
予約されたテーブルには彼の次男がガールフレンドを連れて座っていた。
「わあ、ひさしぶりデスネ」
ちょっと前まで高校生だった彼も今では会社員だ。
そこに仕事終わりに奥さんに迎えに来てもらった友人が遅れて顔を揃えた。
「さあ、食べましょ~」
ニギヤカな夕食のはじまりはじまり。
そう、この国ではカニ料理だろうと、沈黙は訪れないのだ。
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確かに、日本人は
カニを前にすると、黙っちゃいますよねー(^^;
by はらぼー (2015-05-14 07:19)
>はらぼーさん
日本人は「黙って食べなさい」って躾けられますからネエ。
カニに限らず・・・
by delfin (2015-05-14 21:38)