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Dinner Time @Denver [Denver (U.S.)]

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10月28日日曜、曇っているが合間から覗く日差しはきつい。

標高は高いが気温的には我が地元と変わりがない。
湿度が低い分だけ、過ごしやすいかもしれない。

通常、日曜日はGAMEDAY、取材の際は朝からスタジアムに赴くのだが、
今回はサンデーナイト・ゲーム、夜の試合なので、
日中はダウンタウンの取材に時間を充てることにした。

昨夜は観光局のスタッフに招かれ、夕食をともにした。

地元の情報や流行、人気のスポットを教えてもらうには地元の人が最適。
それが観光局の人間ならさらに抜かりはない。

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ホテルのロビーで待ち合わせした後、
ダウンタウンのモールを歩き、その一画にあるレストランが連なる通りに向かった。

ビストロにも見える店構えは小さく見えたのだが、
中に入ると奥へ奥へと部屋が連なり、総数にするとかなりのテーブル数があった。

週末ということもあって、ほとんどのテーブルがカップルやグループで埋まっている。
誰もがちょっとしたドレスアップをしていて、シックな店の雰囲気に溶け込んでいた。
FarEastからやってきた小汚い物書きとしては肩身が狭iかったが、
その思いの通り、背中を丸めているとよけい卑屈に見えるので、
パリッとしたシャツとともに背筋もパリッと伸ばすことにした。

店内は間接照明で、日本のそれよりかも明らかに暗いのだが、こういう雰囲気はキライじゃない。

「ここは女性のオーナー・シェフが切り盛りしている店なの。
 だからインテリアにも気遣いがあって、とってもいい雰囲気なのよ」

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GW、夏休み、国内旅行を安く探すならじゃらん!

ウェイターに渡されたメニューをこちらに差し出しながら、観光局の女性スタッフがいう。

ご他聞に漏れず、こちらのメニューに写真はない。
その分、文章から料理を想像できるので期待感は膨らむ。
わからないものはテーブル担当に尋ねればいいし、
ギャルソン(ウェイター)ならメニューがどんなものか、どう調理されているかぐらいは知っているものだ。
客の注文をただ復唱し、ダレがナニを注文したかも覚えていないのはギャルソンとはいえまへんなあ。

ヨーロッパに出向くとツアー客が写真がないメニューに不平を漏らしていたことを思い出した。

わからないことはスタッフに尋ねればいいし、
言葉がわからないなら、ツアコンでもガイドにでも聞けばいい。
日本人はどうもこの「人に尋ねる」という行為がヘタな民族、
夫婦、恋人、お仲間同士でコソコソ、アーダコーダと相談している姿をよく見かける。
声を張って尋ねてもチャージがかかるわけでもなかろうに。

写真入りのメニューはたしかにわかりやすく便利かもしれないが、
残念ながら写真以上の料理が出てくることはない。
食堂のオヤジが撮った画ならまだしも、
たいがいはカメラマンが腕を凝らした写真はまさに「垂涎の一枚」だからね。
そうなると料理が出てきた時点で減点法導入、期待値は下がりっぱなし、
想像力を削る写真入りのメニューは好きになれない。

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「彼、以前はスポーツ・カメラマンをしていたのよ」

そういって彼女は遅れて来て席に着いた男性を紹介した。
テーブル越しに握手を交わし、名乗りあう。

「デンバーで?」

「いや、NY。こちらには仕事を変えて、数年前に移り住んだんだ」

観光局の人間とはいえ、見ず知らずの人と食事を共にするのは気が重たかったが、
元同業の人に助けられる思いがした、これで話題が尽きなそうだ。
もっとも観光局の彼女のほうがヘンなアジア人との食事に気が重たかったかもしれないが。

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「NYって、またメディアの先端の街で仕事されてたんですね」

「ヤンキースに張り付いてたよ、日本のファンもたくさん観に来ていたね。
 日本の人はベースボールが好きだし、いいプレイヤーも多いよね。
 ノモ、マツイ、イチロー・・・張り付いている日本人記者が多過ぎて閉口するけど。
 そういえば、この間のイラブのニュースは少し悲しい出来事だった」

「確かに。イラブの件は日本でもニュースになりましたよ。
 彼らを張り付いているのは『番記者』ってやつで日本から来ている新聞記者ですね。
 一度、マツイに取材したことありますけど、囲みの輪に入り込めませんでした。
 あれはこちらではちょっと異質な光景ですね」

「ヤンキース、好き?」

「いや、ボストンLOVEなので、あの縦縞は・・・です」

「え! そうなの? 実をいうと僕はボストン生まれさ。
 仕事とはいえ、ヤンキース担当は辛い仕事だったよ。
 じゃあ、乾杯しよう! Yankees Suck!」

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「あなたたち、なに盛り上がっているの? わたしも乾杯したいわ」

オーナーシェフと話し込んでいた彼女が席に戻ると、おもむろにグラスを持ち上げた。


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