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strategy in paradise @Singapore [Singapore]

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到着後、入国手続きへ向かう前にトランジット・カウンターに立ち寄った。

通常のチェックインだと受付カウンターは3時間ほど前でないと開かない。
そうなると早朝便の場合、一旦入国しても、深夜に空港に戻り、
カウンターが開く朝方まで出発ホールで待つか、
あるいはホテルで仮眠して、暗いうちにタクシーを飛ばし空港へ戻るか、ということになる。

通常、ボーディング・パス(搭乗券)がなければ、
出国手続きを済ませ、出発ゲートに至ることはできない。

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みなさんも海外の空港で見かけるであろう「ロビーで横になっている人たち」は、
それがイヤで入国せずに空港内に留まっているトランジット客、というわけ。

作戦実行の第一段階は「あらかじめボーディング・パスを得ること」。

現状、マニラからはSQ(シンガポール航空)~NH(全日空)という他社乗り継ぎなので、
マニラ~シンガ~日本の「通し」で搭乗券を出してもらえてはいない。
ここチャンギで改めてボーディング・パスを得なくてはならないのだ。

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「日本へのボーディング・パス、でますか?」

「フライトは?」

「朝8時のオール・ニッポン、NH112」

「あら、随分早いわね」

カウンターにいたインド系の女性は戸惑ったように返してきた。
それはそうだ、18時に到着して、翌朝8時の搭乗券を出せ、という客は少なかろう。




「ちょっと待ってね。NHに出せるか、電話してみるわ」

「お願いします。ないと入国しないでずっとこの中にいることになっちゃうんだ」

「あはは、それは残念なことね」

彼女は事情を汲み取ってくれたのか、笑いながら電話を手にしていた。

耳馴染んだシンガポール訛りの英語が続く。
シンガポリアンらしいパターンで、本題に入る前にひとしきりムダ話。
手持ち無沙汰なカウンターでシングリッシュで交わされるムダ話を聞いていると、
それだけで吹き出してしまいそうになった。

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そんな感じで待たされ、ノンキで気楽なフンイキに、
「ああ、ここはシンガなのだなあ」とあらためて感じていた。
その彼女が会話の途中でスマイルしてよこす、たぶんいい合図なのだろう。

「出していいみたい。いま、打ち出すわね」

彼女は受話器を置いて、キーボードを叩きはじめていた。

「よかった、これで市内でメシが食えるよ」

「空港よりおいしいものが食べられるわね」

少しばかり手間取りはしたが、無事に全日空の東京行き搭乗券が手元にやって来た。



これで入国しても好きな時間に出発ロビーに戻ってこられる。
数時間のために市内にホテルを取る必要がなくなり、作戦は実を結びそうだ。

気だるい朝にチェックインの長い行列に並ばなくて済む、ということと、
時間の制限がない、という大きなアドバンテージを得た。
深夜まで飲み食いして、タクシーで空港に戻り、
出してもらった搭乗券とともに出国手続きを終えたら、
あとは『プライオリティ・パス』で『ビジネスクラス・ラウンジ』へ転がり込めばいい。

チャンギ空港では4箇所(!)のラウンジを使うことができるので、
仮眠室を持つラウンジで横になってもいいし、ネット環境も万全なので朝は遠くない。
赤道直下の国でかいた汗もラウンジのシャワーで洗い流せるし、
眠くなければ空港内のシアターで無料の映画を観る、なんていうのもアリだ。

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搭乗券をしまい、キャスターバッグを預け、シンガポール入国を済ませると、
いつものようにターンテーブル手前にある市内通話から友人に連絡を入れた。
知る人ぞ知る、この公衆電話はケイタイだろうが無料だ。

さあて、ドコでナニを食べようか。


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