peculiar paradise @Manila [Philippines]
コーヒーを飲みながらの祈りが通じたのか、9時になると雨はおさまった。
ダウンタウンに2,3の古い教会があることは地図を見て目星をつけていた。
徒歩でそこに出向けることを見越して、このエリアに泊まることを決めたのだ。
昨夜出向いたコンビニの近くには鉄道の駅もある。
時間的にキビシくなったら、ホテルへの戻りはそいつを使えばいい。
雨に朝の時間を奪われ、マニラの街をブラつけるのは3時間だけとなった。
時間があれば旧市街にある大聖堂も目指すつもりでいたのだが、そいつはきびしいか。
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雨の上がった道を小躍りしながら、まずはマラテ教会を目指した。
たとえ3時間でも知らない街を歩けるのは気持ちが踊る、スキップしたいぐらいだ。
しかしその気分にはすぐに邪魔が入った。
「一日雨でしょう」と告げていた天気予報の通り、また雨粒が落ちはじめたのだ。
いや、落ちはじめた、というより、さっきがたまたま雨雲の切れ間だったのだろう。
CAFEの軒先をくぐり、レストランの入口で歩みを止め、
商店の店先で地元の人と濡れた服を指差し、苦笑いを交わし、
雨を掻い潜りながら、教会を目指した。
こちらの気持ちなど無視するように、空は割り増しで雨粒を落としている。
叩いてくる雨に追われるように教会の礼拝堂に転がり込んだ。
愛用のデッキシューズの中はすでにガボガボで、
走って跳ねを上げたのか、短パンの尻の部分はシコタマ濡れていた。
カトリックの教会らしく、石積みの建物が重厚な面持ちを見せている。
書いておいて改めるのもおかしいが、『教会』というのは組織のことを現しているので、
建物自体を説明するなら『聖堂』というのが正しい、ということになる。
さらに刻むと『大聖堂』というのはその地区を束ねる『司教』が存在するものを指している。
オフィスビルが立ち並ぶ街なかで、歴史ある建物が当たり前のように鎮座している。
世界中、どこの国でもカトリックのインパクトは強烈、
スマホが普及しようが、21世紀がやってこようが、普遍の面持ちだ。
雨宿りを兼ね、しばらく礼拝堂のなかを眺めて歩く。
例外なくカトリックの国では、平日だろうが幾人か祈りを捧げる信者がいる。
祈りの邪魔にならないよう、シャッターを切る。
静寂に包まれた厳粛な石造りの礼拝堂の中では
小さなシャッター音が鐘の音にも等しいノイズに感じられる。
時折、扉が開き、人が入ってくる。
その一瞬、外の雨音が堂内の静寂をかき消す。
同時にその音が街歩きを目指すこちらの気分を滅入らせてくれる。
それでも知らない国の知らない街、知らない通りの知らない聖堂で、
虚無の時間を無為に過ごすのもまた一興。
なにもしなくてもなにも観なくても、
異国の地を踏み、異国の空気を吸い、異国の人とすれ違う。
それだけでもいい。
ただし異国の雨にしとどに濡れるのはどうかと思うが。
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