twilight of paradise @Palau [Palau]
空港に到着したのは約束の時間から30分遅れの18:30だった。
空港内にある『TOYOTAレンタカー』のカウンターに駆けつけると、
半分シャッターが閉まっていて、誰もいない。
返さなければならないキーを渡すことができない状態に陥ったことを悟った。
備え付けの電話から市中の事務所にかけても誰も出ないし、
10分ほど待っていても誰かが戻ってきそうな気配がない。
出発は20:50なので、アセりはしなかったが、
連絡もつかず、あてもない状態、
無人のカウンターの前でできることといえば、途方に暮れることぐらいだった。
確かに約束の時間に遅れたコチラが悪い。
空港に向かう途中の橋で夕焼けを撮ることに夢中になってしまい、
約束の18:00から大きく遅れてしまった。
出発のフライトも時間も伝えてあったので、アバウトに考えていたのが、裏目だったようだ。
ちなみに夕焼けを撮っていた橋の名は『エクストラドーズド橋』。
コロール島と空港のあるバベルダオ島を結ぶ橋の正式名は『Japan-Palau Friendship Bridge』だ。
以前、1977年に韓国企業の落札で『KB(Koror-Babeldaob) Bridge』が造られたが
手抜き工事のため、1996年に崩落事故が発生、
首都機能が麻痺し、『非常事態宣言』まで出される騒ぎとなった。
その後、日本のODAにより、現在の橋が作られた、という裏話つきの橋だ。
チェックインを済ませ、ボーディング・パスを受け取り、
カウンターに戻ってみたが、やはり誰もいない。
困り果てて、インフォメーションの女性に尋ねてみた。
「すみません、『トヨタ・レンタカー』のスタッフの人、知りませんか?」
「いないの? 食事にでも行ったのかしら?」
「カウンターは半開きなので、そうかもしれないけど、
もう30分以上、誰も戻ってこないんですよ。
約束の時間に遅れたこちらも悪いんですけど、スタッフの携帯電話とか知りませんか?」
「顔馴染みだから会えばわかるけど、携帯はわからないわ」
ツーリスト・インフォのスタッフに尋ねること自体が筋違いなのだが、
到着便もなく、手が空いていた彼女はこちらの話に乗ってくれた。
時計は19時を回っている。
「出発まで時間はある? でもここで待っているのも辛いわね、座るところもないし」
小さなロビーは出発を待つ中国人と韓国人のツアー客でごった返ししていた。
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「いや、こちらの責任でもあるので待つのはいいんですけど」
「キー、預かろうか?」
「え? いいの?」
思いがけない申し出に飛びついてしまっていた。
「いいわ。顔馴染みだし、返却だけで支払いがないなら問題ないわ」
一瞬、逡巡したが、彼女の提案が最良な策であることは明白だった。
「出発は20:50だから、もう少し待ってもいいんだけど」
「待っても一緒でしょ? キー、預かるわよ。
あ、わたしはジェニファー。
後日、問い合わせがあったら『ツーリスト・インフォのジェニファー』って言って」
「支払いもないし、クルマのドアはロックしてきたし、問い合わせはないと思います。
一応、名前、書いておきますね。必要ならID、コピーする?」
「いいわよ、そんなの。じゃ、キー、預かったわ」
「ほんと、ありがとう」
彼女に鍵を渡した後もカウンターを覗いてみたが、そこに変化はなかった。
「気をつけて、いいフライトを!」
混み合ったロビーで見送りの言葉をもらい、出発ロビーの階段を上がった。
まさか一人旅で見送りの言葉をいただけるとは。
これでパラオの旅も終わりか、と思ったのだが、幕はまだ引かれなかった。
Japan-Palau Friendship Bridge ↓
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