uninhabited paradise @Palau [Palau]
のんべんだらりとしたひと時を過ごすとボートは動き出した、
「出発するよ。カヤック組をピックアップしたら、無人島でランチタイムだよ」
キャプテンはそう声を張ると眠っていたエンジンを叩き起こした。
さきほどの浮島までおかまいなしに飛ばし、カヤック組を拾い上げると、
ふたたびエンジンを唸らせ、洋上クルージングに突入した。
砂浜に囲まれた無人島が見えてきたところでエンジンを停め、
惰性だけになったボートを砂浜の手前で止め、倒れた巨木に舫った。
乗客は膝下ほどの浅瀬に降り立ち、履物を抱える形で島に上陸した。
「こちらでランチタイムです。一時間ぐらい、帰るときには声をかけますね」
パラオ式なのだろうか、このツアーでは「XX分まで」という時間の区切りがない。
ピークシーズンは対応が異なるのかもしれないが、
時間的な制約を設けないこのやりかたはなかなかステキだ。
20名ぐらいのワンボートならスタッフも全員に目が届くし、
客同士も顔が知れ、声を掛け合うことができる。
ヘンに時間や数字に縛られないのは気楽でいい。
島では別のツアーの先客がBBQの煙を立てていた。
切り立ったほかの島と異なり、方々に砂浜が広がり、上陸するのに容易いからか、
すでにさまざまなツアー・グループでにぎわっている。
ニギヤカな無人島だ。
野趣あるBBQの煙にそそられたが、
手元にはプラスティックの幕の内スタイルの弁当が配られていた。
BBQの煙を羨ましく眺めながら、それぞれが弁当を抱え、
日陰やテーブル、波打ち際などに気に入った場所を見つけ、腰を据える。
テーブルを囲む相手もいないこちらは、
これまた一人で弁当をつついていた韓国人ガイドと肩を並べた。
弁当は日本スタイルのオカズが入っていて、
こういう場所で供されたのしては悪くない味付けだ。
酒盛りするわけではないので、BBQよりも手軽で清潔な弁当のほう正解か。
日本の弁当なのに「チャプチェ」が入っているのがおかしかったが、
コイツがヤケにウマかった。
「イゴ、チャプチェ、マシッソヨ(これ、ちゃぷちぇ、おいしいね)」
黙々と食べていても楽しくもおいしくないので、
ブツ切りのインチキ韓国語でガイドに話しかけた。
「うちの会社が知り合いの韓国レストランで作ってもらっているんですよ。
おいしかったならレストランの人にそう伝えますね~。
え~、でもなんで、韓国語デキルデスカ?」
「ソウルによく行くんです。
韓国語はしゃべれないけどね、単語だけスコシワカリマス。
でもまさかパラオで韓国の人と韓国の味に会うとは思わなかったよ」
「わたしも韓国語を話す日本人のお客さんに会うとは思いませんでした。
弁当は『OBENTO』として町の売店でも売られてますよ。
日本語、同じ言葉です」
おお、今日はやたらと街なかで見かけた単語の謎解きがされる日なのだ。
ちなみにパラオは占領下からの影響で、今もたくさんの日本語が残っているらしい。
「OBENTO」(オベントウ)、「YASUMI」(ヤスミ)、
「MATA ASHITA」(マタ、アシタ)など単語からアイサツまで今も使われている。
ちなみに仕事終わりの一杯は「ツカレナオス」というらしい。
人の多い無人島、ランチタイムのひと時が過ぎていく。
Kemurbeab ↓
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